組織: CTO室直下の「AI Solution Development Group」
SansanのFDEが所属するのは、CTO室直下のAI Solution Development Group。採用情報によると約20名・チームトポロジーに基づく4チーム構成で、Sansanが持つビジネスデータとAIテクノロジーを掛け合わせて顧客のビジネス課題を解決し、「事業の非連続な成長をけん引する」ことをミッションに掲げています。
注目すべきは組織の置き方です。プロダクト部門でも営業部門でもなくCTO室直下——つまり技術トップの直轄で、事業部側のAIイネーブルメント組織と兼務するメンバーもいる「越境前提」の設計です。これはPalantirがFDEを事業の中核に据えた構造の国内SaaS版と読めます。
仕事: 顧客訪問から数日でプロトタイプ
公式テックブログ(2026年7月)では、FDEの仕事を「顧客の業務や暗黙知を深く理解・言語化し、本当に解くべき課題は何かを見極めながら、AIやプロダクトを活用して解決する」役割と説明しています。
具体例として紹介されているのは、顧客訪問で業務プロセスを整理した翌週にはプロトタイプを確認・リリースする高速サイクル。営業データとSansanの蓄積データを統合して次のアクションを提案する「Sansan AI」のエージェント開発を、顧客の現場起点でディレクションしています。
コンサルタントとの違い
ブログではコンサルタントとの違いも明確に語られています——個社の課題解決で終わらせず、得られた知見を抽象化してプロダクト化し、同じ課題を持つ他の顧客へも迅速に価値提供する。この「N=1の深掘り→プロダクトへの昇華」はFDEという職種の本質で、FDEとはで解説した定義そのものです。
求められるスキル: コーディングより「越境する姿勢」
公式ブログで強調されているのは「職種や組織の壁を越えてチャレンジする姿勢」と「業務経験やドメイン知識」。コーディングスキルよりも人間側の経験・ノウハウが価値を持つという指摘は、AIがコードを書く時代のFDE像として示唆的です。未経験からの道筋はFDEになるには・ロードマップを参照してください。
キャリアパス: FDE→PdMへの明示的な道
採用情報では、FDEとして積んだ顧客インサイトを活かしてSansan AIのプロダクトロードマップを主導するPdMへのキャリアチェンジ、およびチームを率いるマネジメント職への道が明示されています。「FDEはPdMへの最短経路になり得る」というキャリア比較の仮説を、国内企業が制度として裏付けた形です。
FDE Outlook: 国内SaaSへの波及が始まった
今見えていること: Palantir・OpenAI・Anthropicといった外資に続き、国内SaaS大手が「FDE」という職名で専門組織を立ち上げ、公式テックブログで発信を始めました。東京・大阪の両拠点で採用が確認できます(2026年7月時点)。
今後の見立て: SaaS企業は「導入したのに使われない」問題を最も痛感してきた業界です。Sansanの事例が成果を出せば、国内SaaS各社がFDE組織を追随して新設する可能性が高く、FDE求人の裾野は外資×ハイエンドから国内×ミドルレンジへ広がると予想します(当サイトの求人ウォッチで定点観測を続けます)。